非常用発電機・100%稼働の信頼担保

では、具体的に当法人が皆様にお願いしていることは何かと申しますと、それは、消防法の定期点検を通して、いざという時に非常用発電機が十分に稼働するという信頼性と安全性を100%担保して頂きたいということです。
このような事を申し上げるまでも無く、オーナー様、管理者様は非常用発電機の定期点検は行っていると仰るかもしれません。しかし、全てではございませんが、この定期点検には少し問題があります。その点検方法に十分な信頼が得られないかもしれないという点があります。つまり、非常用発電機に電源を入れて、発電機を作動させる迄は良いのですが、その動作確認だけで終わっているというのが現状なのです。
車の定期点検で申しますと、車のエンジンを始動しただけで、点検を終了するということです。車を実際に走らせることで、正常に動き、止まることが可能か確認できるのですが、非常用発電機では始動だけの点検で済まされています。
要するに、非常用発電機は、そこで作られた電気が必要な消防用設備(スプリンクラー、非常灯など)に供給されて、その設備が十分に稼働することが一番求められているのです。ですから実際に消防用設備を動かす為の力が本当にあるのか?どうかは実際に負荷をかけてみなければ確定できません。
つまり、災害時と同じ様な状況、ビル全館の電源を落とし、非常用発電機に切り替えて、スプリンクラー、非常灯などを作動させてみなければならないのです。このような実際の災害時を想定した試験点検を「実負荷運転試験」と申します。
ところが、実負荷運転試験には非常に高いハードルがあります。例えば、多くのテナントが入居している商業ビルの場合、電源を落とすということがどれほど困難なことか言うまでもありません。ほぼ不可能に近い状態なので、必要な試験と分かっていても、実負荷試験を行うことはできません。
そして、仮に全館電源を落として、実負荷運転試験を行った場合、非常用発電機に一気に負荷がかけられてしまうことになり、下手をすると発電機が故障してしまうことにもなりかねません。
よって、これまでの非常用発電機の定期点検は始動、無負荷運転による動作確認で終わっているのが殆どでした。
これは、当法人が今までのビルメンテナンス会社を批判しているのでも全くありません。現実的に困難であるということを伝えているだけです。
しかし、現実に頻発する災害状況を鑑み、行政からは発電機に対して負荷運転試験を行う様に指導がなされております。でなければ、非常用発電機の稼働の信頼性は担保できにくくなっているからです。